こんにちは
先日オンラインでのオーラルヘルスケアセミナーがありましたので皆様にお伝えしたいと思います
歯石や口臭の悩みはたくさんの飼い主様からお聞きしますので、参考になれば嬉しいです
よく飼い主様から「虫歯になった」と言われる事がありますが、わんちゃん猫ちゃんでは虫歯はほとんど起こる事はなく、歯周病が歯科疾患の大多数を占めています。
猫ちゃんでは虫歯はほぼないです☝
また歯肉炎や歯周炎と言いますが、それぞれの状態は
歯肉炎・・・歯肉のみが侵され炎症をきたしている状態
歯周炎・・・歯肉以外の歯周組織まで侵された状態
歯肉炎と歯周炎を総称して歯周病と言います。
ではどのくらい歯周病になりやすいかと言いますと、2~3歳以上のわんちゃん猫ちゃんの80%以上は歯周病に羅患していると言われています
人間も歯磨きをしなければほとんどの人が虫歯になってしまう様に、わんちゃん猫ちゃんもデンタルケアをしなければ歯周病に侵されてしまいます。
人間とは違い、ある日急に歯磨きを始めよう!というのはなかなか難しいので歯石が付き始める前からお口を触られる事に慣らしておく事が大切です☝
そして歯石になってしまうと歯磨きでは取れないので、麻酔をかけて歯石除去が必要になります。
なので歯石になってしまう前に歯磨きをする事が大切です。
わんちゃんの場合3~5日
猫ちゃんの場合7日
で歯垢から歯石へと変わるため、最低でも3日以内に1回歯磨きをするのが理想的です。
✩歯磨きをする時のポイント✩
・歯ブラシはお水でよく濡らしておいしいデンタルジェルをつけてあげましょう🍏
・磨く時はそーっとそーっと🐾歯垢は思っているより軟らかいです。
・歯の表面ではなく、歯と歯茎の境目の歯垢を取る様に磨きましょう
歯磨きを始めていない子は初めから歯ブラシを使うのは難しいと思うので、初めはデンタルジェルを歯に塗るだけにしたり、デンタルシートで歯を擦る事から始めるとよいと思います(^^)
歯ブラシが出来る様になるまで少しずつステップアップして、少しでもできたらしっかり褒めてあげましょう!
歯肉の状態によってその子にあう歯ブラシで磨く事も大切です☝
当院には3種類の歯ブラシのご用意がございますのでその子にあった歯ブラシをお選びします
実際に一緒に歯磨きをしてもらうとポイントが伝わりやすいと思うので、ぜひ一度ご来院下さい
歯周病の話に戻ります…
わんちゃん猫ちゃんの歯周病は様々な全身の病気と関連があると言われています。
雑菌が歯肉を介して全身の臓器に広がり、肝臓や腎臓が弱る事で寿命の短縮を引き起こす事もあります。
また歯肉炎を放置してしまうと歯周病へと悪化し抜歯をしなければいけなくなる事があります。
歯がないと生活の質が落ちてしまうので数年後のわんちゃん猫ちゃんの為にも歯の健康はとても大事だという事が分かりますね
口腔内の悩みで一番多いのは歯周病ですが、乳歯遺残も小型犬の子では多くみられます。
乳歯遺残とは乳歯が抜けない状態で永久歯が生えてくる事を言います。
わんちゃん猫ちゃんの歯の生え変わりは
生後2ヵ月齢・・・乳歯が生えそろう
生後3ヵ月齢・・・乳歯から永久歯への生え変わり開始
生後6~7ヵ月齢・・・永久歯が生えそろう
通常6~7ヵ月齢で永久歯の萌出は完成しますが、それ以降も遺残している場合は不正咬合を引き起こす事が多いです。
また、乳歯と永久歯が2重になっているため食べ物が歯の間に詰まり、口臭や歯周病を引き起こす原因になってしまいます🦷
最も遺残しやすいのが犬歯乳歯です。
放って置くと歯周病が進行してしまうので、早めに抜歯をする事をおすすめします☝
続いて歯の破折について🦷
破折が起こってしまう原因で多いのが、硬いものをかじる事により起こる破折です🦴
破折し歯髄という歯の内部を満たす軟組織で神経と血管が走っている部分が露出してしまうと、歯髄から細菌が侵入し歯髄炎や歯髄壊死などに進行してしまう事があり、そうなると抜髄や抜歯が必要になってしまいます。
破折から数年後に発症する事もあります。
なので破折してしまったという時は放置せず、速やかに病院にかかる事が大事だと言えます☝
破折してから時間が経っていなければ、抜髄や抜歯をせずに済む可能性が高くなります。
硬いものを食べて破折してしまうのが一番多いのが上の歯の第4前臼歯です。
ここで噛む子が多いからですね
破折を起こしやすい物として、プラスチック製ガム、ひづめ、鹿の角などがあります。
特に鹿の角はとても硬く破折の危険があるので避けたいです
デンタルガムは噛むことで歯石予防にもなりますし、破折の危険のない硬さなのでおやつとしておすすめです。
デンタルガムでもたくさん種類がありますが、硬さの目安は大人の人が力を入れて曲げると曲がるくらいの硬さの物ががよいです🦴
硬いおやつをあげる時は注意して下さいね
最後に歯石除去について🦷
歯石除去は麻酔下での処置となります。
その理由として、麻酔をかけていないと歯周ポケットの歯垢・歯石を取るのは難しいからです。
表面の歯石を削る事は麻酔をかけていない時でもできますが、歯周ポケットの歯垢・歯石除去をしないと歯周病は進行してしまいます。
また歯石除去した後の歯の表面はでこぼこになっている為、ポリシングをしてフラットにしないと再び歯石が付きやすい状態です。
ポリッシングも麻酔下でないと処置ができません。
他にも無麻酔での歯石除去だと、口を触られる事への恐怖心を植え付けてしまったり、歯石を誤嚥してしまう事で誤嚥性肺炎を起こす可能性もあります
歯石除去した後、デンタルケアをしないと再び歯石が付いてしまうのでお口を触られる事に慣らす事がとても大切です
乳歯が生えそろう生後2ヵ月頃からお口を触る練習を始めましょう
当院では院内で歯磨きも実施していますので、ご自宅ではなかなかやらせてくれない子や、毎日自宅で磨くのは難しい・・・という方はぜひ、歯磨きに来て下さいね
歯ブラシが苦手な子はデンタルジェルやデンタルシートを使って、その子に合ったデンタルケアを見つけられるといいと思います
うちのわんこ17歳です👴
歯磨きをしていたおかげで若い頃とかわらずおいしく食べる事ができています
口臭も少ないのでみんなが顔をすりすりしてきます🌷🌷
歯磨きをしてきて良かったなぁと思います😊
歯石や口臭が気になる子はぜひ、ご相談下さい
看護師石川でした